WORK PLACE STUDIES 2020について

法政大学下吹越武人研究室では2018年度よりWORK PLACEの研究活動を続けています。2年目となる2019年度の活動報告がまとまりましたので、「Intaview2020」としてWEB公開します。

WORK PLACE研究は働くことと場所の良好な関係を読み解き、わたしたちの日常が場所と深く繋がることで得られる楽しさや豊かさについて考察する研究です。Workは〈働く〉と共に〈作品〉という意味を併せ持ちます。また、場所は人の営為によって認識されます。わたしたちは働くことが場所に定着することを能動的な創造行為として捉え、働くことによって場所の性格を再発見したり上書きしながら、新たな場所性が地域に共有されるメタボリックな循環のしくみを解き明かすことを目的としています。研究対象は経済活動による膨張と更新が繰り返される大都市、東京を中心としたエリアです。

2019年度も前年と同様に研究室の学生が事例を調べ、持ち寄ることから始まりました。わたしたちは持ち寄った事例をボードにピンアップして全体を見渡しながら議論しています。ピンアップされた事例はどれも魅力的な活動を実践している人々でしたが、事例をグループに分け、特徴をキーワードにまとめる作業を繰り返していくうちに、それぞれの事例がなにか決め手に欠けているような印象を持つようになりました。働くことと場所との関係に強い結びつきや積極的な試みが見出せない事例は徐々にボードの片隅に集められるようになり、結果的に4つの事例が残りました。

4つの事例に共通しているのは、登場人物のみなさんが生き生きとしていて、かっこいいことです。そして、働くことと場所が交換不可能な固有性を有している、あるいはその資質を発展することに戦略的なことでした。活動が場所に定着すると独自の固有性が生まれるのはあたりまえのことのように感じますが、事業として活動する場合は難しく、都心部の没場所化した地域ではより一層の困難が伴います。普段あまり気に留めることのない茫洋とした地域に小さな渦をつくりだしている4つの事例は、働くことと場所の新しい関係性を模索していて、現在進行形で格闘している様子をうかがうことができました。突然の申し出にも拘らず、インタビューに協力下さったみなさまにお礼を申し上げます。

今回の総括は世界各地の都市リサーチを行っている建築家:岡部明子さんにお願いし、岡部さんが館山のコミュニティ再生活動拠点として活用されている古民家「かやぶきゴンジロウ」で話を伺いました。岡部さんからは場所が地域に開かれていることの意義やフィールドワークの奥深さなど、幅広い視点から数多くの鋭いコメントを頂きました。この場を借りて改めてお礼を申し上げると共に、甚大な台風被害にもめげずに館山で活動を続けている岡部さんと研究室の方々に心より敬意を表します。

なお、番外編として陳禹鳳さんの修士研究「デジタルノマド」についてのインタビューも掲載しています。デジタル社会の働きかたと場所の関係を表象する最先端のテーマで興味深い研究です。

 

さて、今回も作業が大幅に遅れ、インタビューから半年以上過ぎた2020年5月にようやく公開することができました。現在、COVID-19の蔓延により世界中の活動が停止し、多くの人が自宅で過ごす時間が増えています。近い将来、社会活動が再開しても働き方や人との関わり方は一新されることが予想されます。そうした新しい社会の中でWORK PLACEへの関心や重要性は益々高まってくるのではないでしょうか。自宅で過ごす時間がポジティブな希望へ繋がることを期待したいと思います。そして、このWORK PLACE研究が次の社会へのスタートに寄与することを願っています。

 

2020年4月

下吹越武人

 

WORKPLACE STUDIES Members

代表 下吹越武人

編集 飯田彩

 

葛西孝憲

川田優太郎

呉沛綺

 

畠山かおり

大江和希

石捷倫

宋佳蔚

 

殷智愚

王崢

 

島田佑夏

奥津明日香

桜本知佳

西牧菜々子

松島杏奈

 

沖山雄大

福島将洋