そのワークプレイスは、都市の問題に応えられているか?

岡部明子

建築家・東京大学大学院教授

1985年東京大学工学部建築学科卒業後、1987年まで磯崎新アトリエ(バルセロナ)に勤務。1989年、東京大学大学院修士課程を修了し、再びバルセロナへ。1990年、堀正人とHori & Okabe, architectsを設立。2004年より千葉大学助教授、2011年より同教授。2015年より東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。2017年日本建築学会教育賞を受賞。著書に、『バルセロナ』(中公新書、2010)『メガシティ6 高密度化するメガシティ』(共著 東京大学出版会、2017)ほか多数。

岡部明子研究室

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小商いのできるアパート、創業90年の銭湯、コワーキングスペース併設の集合住宅、真鶴の出版社+ゲストハウス、4回のインタビューを終えて、岡部明子さんと一緒に全体を振り返ります。

当日は、千葉県館山市にある茅葺き古民家「ゴンジロウ」を訪ねました。ゴンジロウは、岡部さんが10年以上に渡って地域住民と一緒に改修を重ね、地域住民と研究の拠点にしている場所です。

それぞれのインタビューについて、多角的な視点から指摘をいただき、対話を進めるに連れて、これからのワークプレイスが、単なる働く場所ではなく、多様な都市や地域の問題に応える営みの場所であるための課題や可能性が見えてきました。

 

「ゴンジロウ」の外観

 

欅の音terrace:共感者だけでなく、どれだけ地域を巻き込めるか

 

飯田彩(以下.飯田)──欅の音terraceは、設計者のつばめ舎建築設計さんが竣工後も週に1日ここに通って入居者のDIYや店舗運営の相談に乗っています。マルシェも運営を彼らがメインでやっていて、手を離したときに居住者だけでやっていけるようにサポートしている状況です。

 

岡部明子(以下.岡部)──ニュータウン開発みたいですね。

 

下吹越武人(以下.下吹越)──行ってみてよく分かったのですが、ものすごく精緻に組み込まれた“事業”なんです。ただ今までと圧倒的に違うのは、居住者の方々が自分たちで運営していけるようにスキルを教えているというところかな。入居者の方々はちょっと戸惑いながらも楽しみながら、とにかくやってみるという感じです。スタートアップしたばかりで、商売としてもまだ軌道に乗っていないように見受けられるし、自治に関してもまだ手探りの状態なので、今後どうなっていくかが肝心なところです。

 

岡部──オーナーさんがそういうことをやってみたいと思っているところがおもしろいですよね。

 

飯田──そうなんです。欅の音terraceは小商いで、1階は割とお店を本気でやっている方なんですが、2階は住みながら週に数日お店を開けばよいルールになっているので、Tsugubooksさんもしっかり会社員をしながら土日など開けられるときに開けています。以前からカフェなどで間借り本屋をやられている方で、マイクロライブラリーとして地域に開きたいという意識が高いので、「買わなくてもいい」って言うんですよね。

欅の音terraceは複数の建築関係の賞を取っているという華々しいイメージの反面、入居者はお店を開けて地域の活性化に繋げたいけれど、住宅街でお客さんが少ないので結局ダブルワークになってしまうという悩みがあります。

 

岡部──私は2、3年こういう経験をして、結果的に違う仕事をするのもいいと思います。

 

飯田──そうですね。スタートアップとしてやってみて、巣立ってくれればいいですよね。

 

岡部──でも、最初に入居した人たちは結構よかったけど、入れ替わりで入ってくるとおそらくレベルが下がっていきますよね。

 

下吹越──人は変わるけれど、そこにアクティビティのベースをつくっておけば、街がちょっと変わっていくんじゃないかと感じました。大家さんも本気でそれをやろうとしている感じはしましたね。

 

飯田──大家さんがおもしろい方で、マルシェも、「勝手にどうぞ」ではなくて、自分がお客さんを連れてきて、「いいでしょ」って見せたり、「頑張ってる?」と差し入れをしたり、自分ごととして日常的に関わっている印象でした。あと普段、 “よろず相談大家”みたいな感じでした。

 

岡部──大家さんは本来はそういうものですよね。

 

下吹越──そうなんです。昔はそうだったのにここ最近は地域の方や入居者の方と顔を合わせて話す機会がないとおっしゃっていました。

 

岡部──学生のみなさんはこういうところに入りたいですか?

 

欅の音terraceについての発表の様子

 

桜本知佳(以下.桜本)──私も、これだけ開いた感じだと、プライバシーやセキュリティーの面で不安もあるのかなって思ったんですけど、大家さんが、隣に誰が暮らしているかわからないよりもコミュニティができている方が変な人が来たときとかも不安じゃないという話をしていて、それならば住んでみたいと思いました。

 

岡部──欅の音terraceが地域に閉じてしまわないことが大切だと思うんですよ。こういうのに共感する人たちだけのものになるのはよくなくて、近隣のオートロックのマンションに住んでいるような人たちが、どこまで関わるかというところがポイントだと思います。

 

桜本──2階に住む方々の暮らし方が、これからは1つの会社に勤めるだけじゃなくて、こうやって関係が広まって行くのがスタンダードになっていくのかもしれないし、自分がそういう立場にもなるのかもしれないと思いました。

 

岡部──こういうところに入居する人だけでなく、別の所に住んで立ち寄る人が重要で、ここが変わっていくきっかけになると思います。

 

下吹越──もうひとつおもしろいと思ったのは、ここに入居された方は土地に縁もゆかりもない人たちで、場所に対するこだわりは何にもないんですね。居住者さんたちも最初はよそよそしくてLINEグループをつくった瞬間に仲よくなったとおっしゃっていました。

バックグラウンドに全く共通性を持っていない人たちなので、最初はなかなか結びつかないけれど、LINEで突然仲よくなったというのは現代的だと思いましたね。LINEがなくても普通にコミュニケーションをとれる能力を持っている人たちもいると思いますが、日本人のコミュニケーションのとり方がそういう風に変質しているのだと感じました。

 

飯田──はと。さんも「練馬なんて興味もなかったし、何があるのかも知らなかったので自分が住むとは思わなかった」とおっしゃっていましたね。何もない住宅地だけれど、住みながらお店をやれる集合住宅だから来たと。

 

下吹越──そういう不思議なところに人が集まる背景もよくわからないなって思っていましたが、実は丁寧に事業としてきちんと細かいところまでフォローアップされていたから人が集まりちゃんと動き始めているんだなと思いました。

 

 

 

稲荷湯:都市組織を維持する場所となり得るか

 

下吹越──銭湯は経営が厳しく、稲荷湯はご夫婦で営業していますが、早朝から深夜までずっと働いている過酷な状況です。実際に来ている方々は、入浴が目的というよりも人と話をしに来てる高齢者の方がほとんどでした。稲荷湯の前の理容室のおじいちゃんが、夕方になると窓を全開にしてジャズをフルボリュームで流していてすごいかっこいいんですよ。その前には稲荷湯の空き地があり、「ここにテーブルを並べてビールが飲めるだけでいいじゃないですか」という話をしていました。このように銭湯を中心とした空間資源が魅力的な場所です。

 

岡部──銭湯は建物が結構傷むから、それを大規模改修するお金があるかが鍵になりますよね。

 

飯田──そのタイミングで続けたくても続けられないというケースも多そうですね。

 

下吹越──燃料費もかかりますからね。

 

岡部──昔は解体した木材を燃料にしていたからほとんどタダでしたけどね。

 

下吹越──でもそれも大変で、火にくべられる大きさに全部切らないといけないので、朝から夕方までずっと木を切っていたそうです。

 

稲荷湯についてコメントをする岡部さん

 

岡部──1995年の阪神・淡路大震災の時に、神戸にあった銭湯が大きな役割を果たしたらしいんですよ。私の聞いた事例は、その後壊してしまったのですが、そこの近くには暴力団の本部があり、その人たちが大勢でお風呂に入りに来ていたそうです。マイナスイメージの側面もありますが、銭湯を維持するにはそういう大口の顧客が重要なんですよね。地域デザインをする時や災害時も土建屋とかヤクザとかがキーパーソンになる。

 

下吹越──稲荷湯は中山道から路地を1本入ったところにあって、木造住宅密集地域なんですけど家は一戸一戸が大きくて、宅地が豊かなのが印象的でした。古い都市構造が残っている地域です。

 

岡部──銭湯は、風呂なしアパートに住んでいるような高齢者のインフラとして不可欠だという話があるんですが、今は高齢者施設で入浴できますから、もうそっちが銭湯的に機能しているところがあるんですよ。だから実際には、銭湯がなくなったことによって風呂に入れなくて困っている人はそんなにいないんです。

それと銭湯に行く習慣のある人は近所の銭湯がなくなっても、みんなの集まる場所を求めて違う銭湯に行くらしいです。

 

飯田──するとどこにニーズを見つけていくかが大事ですよね。

 

下吹越──銭湯をリノベーションするという事例はいくつかでてきているけれど、銭湯を残しながらどうするかというのが重要ではないかと、栗生さんもそれを信じて活動しています。

 

岡部──彼女は銭湯好きですね。ノスタルジックを超えた運動にどうしていくかが課題でしょうか。

 

下吹越──そうですね。稲荷湯へ行くと周辺も含めてここを潰してはいけないという感じがあって、古くなった都市組織がどのようにして持続性を備えるのかという問題に直面したように感じました。都市空間として豊かさが残っているので可能性はあると思います。

 

 

 

真鶴出版:「ローカルな場所であえて出版」の課題

 

下吹越──真鶴出版の来住さんは、移住先の条件としておいしいパン屋さんと、美容室がすごい重要になっていると言っていました。単に田舎にあこがれて来るのではなくて、自分たちの生活のクオリティをこれまでの都市生活の中でイメージしていて、自分らしい暮らし方を模索しながら、あそこで生活されている感じがしました。

 

真鶴出版についてディスカッションをしている様子

 

また、トミトの設計が建築的にいいのは、背戸道に対して非常にいい距離感を持って居場所をつくっていることですね。ちょうど道がカーブして1段下がっているところに玄関を新設しているので、少し隠れた感じなんだけれども、背戸道の往来は手に取るように伝わってきます。背戸道から見ると人を受け入れられるような構えになっているので、近所の人たちも「ここなぁに?」と言って来ていて、この建物が地域の人と2人を結びつけるにもうまく機能していると感じました。

 

岡部──パン屋と美容室っておもしろいですね。

 

飯田──「西葛西APARTMENT-2」もそうですが、最近は地域の魅力を上げるものとして、おいしいパン屋が出てくるんですよね。

 

下吹越──我々がいちばん聞きたかったのは真鶴のようなローカルな場所で、あえて出版をやっている意図だったのですが、そこは戦略的に出版を選んだという感じではなくて、単純に川口さんが学生の時から出版に興味を持っていたということでした。しかし、その出版活動がいろいろなリサーチを行うきっかけにもなっているので、そういう意味では街歩きの補完的な活動になっているんですよね。

 

岡部──情報媒体的な軽い感じの出版社なんですね。民族学者の宮本常一の出身地である山口県の周防大島に、みずのわ出版(http://www.mizunowa.com/)という出版社があります。宮本常一の著作集などを手掛けています。宮本哲学を継承する気骨ある編集者で、ローカルな文化をしっかり発信することを使命としています。地方のいろいろな作家さんの本を出しています。大手の出版社に対して戦いを挑んでいる、なかなか過激な人です。ローカルな出版社というと、ついこうしたものを連想しました。真鶴はそういう感じではないですね。

 

下吹越──東京のように他と比較して優れたところを探すのではなく、真鶴を深掘りしたいとは言っていました。

 

飯田──出版をツール的に捉えている感覚がありますね。

 

岡部──そうなるとそれって出版かな?という疑問も生まれますね。みずのわ出版の人に言わせると、真鶴出版は出版じゃない!と言われそうな気がしますが、これからの展開が重要だと思います。

 

 

 

西葛西APARTMENT-2:住民目線で地域を考えることの大切さ

 

下吹越──話を伺っていちばん興味深かったのは、シェアスペースをつくろうという意欲に溢れていたことです。街づくりやパブリックスペースをつくるのは難しいとしても、せめてコモンスペースぐらいはつくらなきゃという建築家意識が強烈で、行政に任せられないから自分でやるしかないという決意に圧倒されました。

 

岡部──それは地域に付加価値をつけて生き延びるという発想があるのではないですか。

 

飯田──駒田さんは西葛西が地元なんですが、都心に出たり、駅前まで行かなくてもここで美味しいパンが食べられてママ友たちが集まっておしゃべりできる、家の近くに小さな幸せを引き寄せようというような意識をすごく感じたんですよね。

 

岡部──なるほど。あと、高齢者とか、そういう話がないですよね。

 

下吹越──高齢者はあまり話に出てきてないね。

 

岡部──これから移民の問題も出てくるし、都市を扱うからには都市の高齢化がいちばん大きな問題になってきます。田舎みたいにコミュニティがあるわけじゃないので、そこでどうしていくかというのも課題ですよね。移民の人を地方の労働力不足解消と日本は勝手に思っているけど、まずそうはならなくて、最終的にはみんな都市に出てきちゃうんですよ。そこで都市が問題を解決しなければいけないんだけれども、そこに対して、こういったプロジェクトはどんな見方をしているんでしょうか?地域に開くとか、いろいろな人に来てほしいと言っていながら、フィルタリングをしている気がしました。

 

移民の問題について語る岡部さん

 

畠山かおり(以下.畠山)──この地域にはインド人が多いらしくて、その人たちにも来てほしいという思いはあるようです。

 

岡部──インド人コミュニティというのは組織化されていますよね。ネットワークがしっかりとあるので、インド人に来てほしいのなら、まず彼らのイベントに出向くのが鉄則。駒田さんたちは周りでも何かやっているんですか?

 

下吹越──現在はここだけです。

 

飯田──他地域のシェアスペースやマルシェと、点同士の交流を計画されているというお話はありましたが…

 

下吹越──面的な広域サービスとして展開しようという意識はなくて、あくまでも自分の場所だけでという感じです。

 

岡部──今度別の集合住宅をつくるときに、こういうシェアスペースをモデルにしようということですよね。

 

下吹越──もちろんそういう依頼が来て展開できれば理想だけどという野心は持っています。

 

岡部──たとえば、なにもない住宅地で家族を持っていて子どもが小さいと近くに何かほしいねとなるわけですね。

 

飯田──そうですね。駒田さんは建築家であると同時に自分たちも地元の住民目線でこういうスペースがほしいという動機が大きいと思います。

 

岡部──たしかに、自分より社会のためにというのは怖いと思います。学生のみなさんはぜひそれぞれの街で住民目線で考えられる建築家になってください。

 

 

都市のワークプレイス、フォーマルとインフォーマルのはざまで

 

下吹越──2018年から続けているこのワークプレイス研究では、都市部で事例を探していました。大都市で何が起こっているかを見ると、地方都市の切実さとは違う局面が見えてくると思ったのですが、いかがですか?

 

岡部──現代の複雑な問題に対して、都市部がソリューションを出さねばなりません。ただ、今回見せていただいたのはほとんどが東京の例なので、付加価値を探しているような、どうしてもビジネスの話になっている感じがしました。いろいろな人に来てほしい、街に開きたいとか言いながら、どうしても同じような人が集まってしまう。心地よい空間は同質なんです。

 

下吹越──なるほど。いつのまにかフィルターをかけて閉じてしまっているわけですね。

 

飯田──欅の音terraceの大家さんと西葛西アパートメント2の駒田さんたちに共通して感じたことは、地元が何もない普通の住宅街だと認めたうえで、それでもなんとか地域をよくしたいという意識です。それもステレオタイプで大規模な開発ではなく、美味しいパンに象徴される日常の小さな幸せや、ささやかな地域交流が生まれる場所を身近につくりたいという意識で、これは普通の住宅街がほとんどである東京という都市部での事例のおもしろさなのかなと。真鶴出版でも美味しいパン屋さんができて生活の質が上がったというあたりに、最近の都市生活者の価値観が表れているのかなと腑に落ちる一方で、価値観を変えずに真鶴生活をする不思議さのようなものも感じました。

 

福田泰之(岡部研究室)──館山みたいな東京近郊の地方も付加価値みたいなものを結構考えているのかなと思いました。館山に隣接する南房総市の平群という地域は、2地域居住で知られていて、平日は東京の豊かさを享受して週末は地方に来て自然と触れ合いながら生活しようとしている人たちもいます。そういう意味では東京都市部だけではなくて、日本全体で付加価値みたいなものがいろいろと考えられて、それが他都市との差別化のために使われてるのかなと思いました。

 

岡部──都市は大切です。文化人類学者の小川さやかさんが執筆された『「その日暮らし」の人類学』(2016年/光文社)という本では、切実な状況下で田舎から仕方なく出てきて、なんとか生き延びるために都市があらゆることをしている人たちを人類学的に見ています。都市を人類学的アプローチで見ているからすごく刺激的です。

インフォーマルセクターに従事する人たちはその日暮らしで、意外に何かいいことを思いつくと独り占めせずにみんなに広めるんだそうです。速く広めた方が結果的に自分が得をするみたいな世界がある。そして展開が速い。2年後に行ってみると以前とは全く違うことをやっているとか。

 

「ゴンジロウ」の内観

 

青年海外協力隊で途上国に行った人の話ですが、現地では基本その日暮らしだから、自分が人間的に生きているという手応えがあるといいます。その日暮らしの方が充実感があるけど、日本にいるといつも将来のことを考えていて、今を生きていないわけですよ。先のことは決まっていないけれど、毎日を楽しむように生きていたほうが、これが人間だと感じるということですね。

 

下吹越──その日暮らしというのは、まさしく人間らしいですよね。

 

岡部──毎日死と隣り合わせの方が生を実感できる、そうでなければ感じられない幸せがあるんですよ、人間には。

 

下吹越──東京はインフォーマルな空間がほとんど消滅してしまいましたよね。

 

岡部──たとえば家族はインフォーマルですよね。家族の中でお小遣いを子どもにやるのはインフォーマル経済ですよね。そう考えると、みんなフォーマルに生活しているつもりでいるけれど、フォーマルなことだけでは生活できません。

だからその場所がフォーマルかインフォーマルか決めることはできなくて、フォーマルな手段とインフォーマルの手段を組み合わせて生活しているんですよ。そういうふうに両方の手段を使っていると思った方がいいんじゃないかなと私は思っています。

 

下吹越──なるほど。

 

岡部──今日見せていただいたのは、すべて賞を取ったり雑誌で取り上げられたものということでしたが、街を歩いていて自分の五感で発見することも大切だと思います。先日学会で金沢に行った際に、金沢から少し離れた鶴来という場所に泊まりました。鶴来は古くからある白山比め神社の門前町で、建具屋さんや家具屋さんなど通りから職人さんの姿が結構見えるんですよ。

いい街だなと思いながら散歩をしていたら、設計事務所らしき建物を見つけたんです。そこがずっと気になっていて何度かそこの前を通っていたら、中にいる人と目が合ったので勇気を出して入ってみました。地元の若い大工さんが、デザインを担当する女性と2人でやっている『建築昌英』(http://kentiku-masahide.jp/)という工務店でした。魚屋さんの息子だそうです。事務所も魅力的で、もともと歯科医院だった洋風建築をリノベーションして使っているようで、まちの中心のいちばんいいところに建っている洋館のような建物でした。

 

今年度のワークプレイス研究についてのディスカッションの様子

 

その2階に2カ月前にオープンしたという、ママ友が集まるようなおしゃれなパンケーキ屋さんがあり、そこでお昼を食べたのですが、工務店とパンケーキ屋が中で繋がっていたんですよ。トイレとかも共用になっていて、パンケーキ屋さんも工務店がリノベーションしたとのことでした。その隣に美容室みたいなものもあって、大工さんが自分で自分の空間や環境をつくっていて、素敵なワークプレイスだなと思いました。こんな感じで、その街の情報がない状態で街歩きをすることがよくあるのですが、歩いていると予期していない新しいものを見つけられることがあるんですよ。久しぶりに飛び込み取材をしましたが、自分の足で歩いて見つけるというのは、おもしろいし大事なことだとあらためて感じました。

 

[2019.09.08,ゴンジロウにて]

インタビュアー:下吹越武人・飯田彩・葛西孝憲・大江和希・宋佳蔚・畠山かおり・奥津明日香・桜本知佳・島田佑香・西牧菜々子・松島杏奈・沖山雄大

文責:畠山かおり