街全体を仕事・生活のフィールドに

[After Talk]

 

馬場正尊さんをゲストに迎え、インタビューの内容を振り返りながら、これからのワークプレイスとは何かを考えます。

 

馬場──僕が403のおもしろいと思うところは、『新建築』などの雑誌を見たときに、たとえば同じリノベーションなのに、僕たちの試行錯誤とはまったく違うところですね。違うエンジンで空間をつくっている印象がありました。403はより工作的で、街全体を仕事のフィールドにしていますよね。活動のフィールドでもあり、仕事のフィールドでもあり、エリアに積極的に密着したというよりも、ごく自然にそうなった感じがあります。今後彼らが手掛けるプロジェクトはどんどん規模が大きくなるから、そのようなことも言っていられないのかもしれないのですが、以前彼らと一緒に浜松の街を歩いていたらずっと色々な人から声をかけられていました。そのような建築家像を、彼らは自然体でやっていそうだなと感じましたね。

 

下吹越──同感で、生活と建築をつくることが、ほとんど一体化しているというのはとてもおもしろいと思いましたし、この世代からそういう人たちが出てきたことが新鮮ですね。

 

馬場──そうですね。土着的ではないため土地に縛られているわけではないし、縛られ続けたいとも思っていないでしょう。流動性が極めて高く、ロマンティックな感性を持って定着している感じですね。そこがおもしろいです。

 

下吹越──新しい場所との関わり方をしている感じがしました。場所に縛られていないのに、場所性が際立っています。

 

馬場──彼らにとっては汎用性というものがないのでしょうね。

 

飯田──以前インタビューした時に、ことさらに「浜松を活性化させたい」と思って活動しているわけではない、と話していたのが印象的でした。一緒に飲んでいるときにたまたま頼まれたから美容院をつくって、店舗の什器をつくって、そうやって気がついたら徒歩圏に何件も自分たちが設計したものができたという感じですよね。再開発などで郊外都市を無理に活性化する必要はなく、既存の物や人のつながりを生かしながら、無理なく現状からよくしていくという考え方ですね。

 

馬場──昔はみんな街の活性化を目指しましたが、その目標がもう古い考えなのかもしれないですね。

 

下吹越──僕は今回初めて403の仕事を案内してもらいました。彼らの言説や方法論は批評的で尖っていますが、実際に見た印象は場所と自然なつながりを持っていて、肩肘を張るというよりも、つくる楽しさや喜びに溢れているといった感じでした。そのギャップが新鮮でおもしろいと思いましたし、今後、彼らがどのように展開していくのかが楽しみですね。

 

[2018.09.25,open Aにて]

インタビュアー:下吹越武人・飯田彩・吉田育未・熊谷浩紀・近藤有希子・万柳慧・

葛西孝憲・川田優太郎・畠山かおり・大江和希

文責:飯田彩