利便性よりもつながりを求めて

[After Talk]

馬場正尊さんをゲストに迎え、インタビューの内容を振り返ながら、これからのワークプレイスとは何かを考えます。

 

下吹越──かざはやファクトリーの様子やインタビューの内容を見て、いかがでしたか?

 

馬場──シェアオフィスですが、よい意味で仕事場にはまったく見えない空間ですね。シェアオフィスには規模なども含めていろいろなタイプがありますが、かざはやファクトリーはフリーランサーの集まりというのが特徴的です。家でも仕事はできますが、人に会いにここに来るようになっていて、彼らにとっては家で作業しているよりもかざはやファクトリーの方が生活と仕事がよりリニアなのだと思います。

 

下吹越──シェアオフィスは都心部に立地しているイメージがあったので、「なぜ地方でシェアオフィスなのだろうか?」と思い、かざはやファクトリーへインタビューに行きました。話を伺っていて興味深かったのは、入居者には都心部にも他のシェアオフィスを持っている方がいることです。本拠地は葉山で、東京には人に会ったりミーティングのために行くそうですが、間の空き時間をカフェで潰さなければならなかったので、東京にもシェアオフィスやコワーキングスペースを借りて時間を有効活用していると言っていました。そうすると、かざはやファクトリーの役割は何でしょうか? 生活と仕事をリニアにつなぐためには、自宅で仕事をする方が効率がよいと思われるけれども、それではうまくいかず、自宅の近くにもシェアオフィスを借りて、人と他愛もない会話をするために来ているそうです。つまり、仕事を取り巻く環境形成という観点から見ると「ワークプレイス」を社会的な関係性の中に組み込んでいかなければ、閉塞状態になって仕事自体がうまくいかなくなるということになります。その主張はなんとなくわかりますよね。

 

馬場──わかりますね。

 

下吹越──僕も、独立して自宅の片隅で仕事をしている頃に、これはまずいなという感覚があったので、その切実さはよくわかります。

 

飯田──私はちょうど今、自宅と仕事場を兼ねていますので、社会と隔絶される危機感というのは実感しています。長谷川さんが「ワークプレイス=社会的空間」と話されていましたが、ワークプレイスは、ただ単に仕事を効率的に行うための空間ではなく、働き方が多様化しているこれからの時代のワークプレイスには、よりその要素が求められますね。

社会的という点で、かざはやファクトリーは、地域に開いてイベントなどを行うことで、地域のための拠点にしたいという展望がありました。この点について、どう思われましたか?

 

下吹越──かざはやファクトリーの入居者は葉山に生まれ育ったというよりも葉山を拠点として選択した人達なので地域社会へ帰属する欲求が旺盛だし、地域社会に染まることがそれぞれの仕事のキャラクターに良い影響を与えることに自覚的なのだと思います。仕事と場所の良好な関係を築くことを楽しみながら実践されていて、羨ましく思いました。

 

 

[2018.09.25,open Aにて]

インタビュアー:下吹越武人・飯田彩・吉田育未・熊谷浩紀・近藤有希子・万柳慧・

葛西孝憲・川田優太郎・畠山かおり・大江和希

文責:飯田彩